会計期間の設定について

こんにちは。本日は会計期間の設定について考えてみたいと思います。

通常、会社設立業務を行うにあたり、お客様には必要書類をそろえてもらうとともに、会社設立に関する情報シートのようなものを記入いただくケースが大半だと思います。会社を設立するにあたり作成する書類には例えば住所や名前、読み仮名などは何度も書くことになるので、あらかじめテンプレートを作成しておき、自動で入力箇所に飛んでいくようにしておくわけです。これは業務の効率化だけでなく、単純なミスをなくすためにも大変有効な手法であり、当社のみならず、会社設立業務を年間数十社程度は引き受けている行政書士事務所であればどこでも行っているスキームだと思われます。

この記入シートの中に、必ずと記入項目としてあるのが会社の会計期間です。当社の入力シートでいえば、会計期間の最初の月を依頼人に設定してもらう形にしています。例えば、会計期間を8月にしたいのであれば、登記日から7月31日までが第一期になり、8月1日から翌年7月31日までが第2期という具合になります。もちろん、依頼人の業務の都合で選択して頂いて構わないのですが、そうは言ってもいつがいいのかよくわからないという相談はよくあります。そんな時は、ちょうど1年後を決算期にしましょうというアドバイスをされることが多いのではないかと思います。例えば6月に設立するのであれば、会計期間は6月に開始すると、第一期は設立日から5月31日までになり、まるまる1年間が初年度ということになります。決算は手間のかかる作業なのでなるべく後にするという意味では大変明快で分かりやすいアドバイスだと思います。しかし、これでは専門家としてのアドバイスにはなりません。例えば、先日、設立した会社ではこんな例がありました。友人が新しく事業を始めるので、そこから業務委託報酬を受け取る受け皿として会社を作りたい。実際に友人が事業を始めるのは9月からという内容でした。会社の設立自体は6月として、第一期を翌年の5月31日に設定すべきでしょうか。私の判断は、9月に友人が事業を始め、業務委託報酬としてどれくらいの金額になりそうか見えてくるのであれば、例えば第一期が9月末日当たりに設定するというものでした。これは役員報酬の決定が、実際に事業が始まらないと出来ないからです。役員報酬というのは原則として定期同額であることが求められることから、期の途中で事業が始まった、役員報酬を上げたいという流れが出来ないためです。

会社設立業務は今やどこもかしこも激安価格、格安価格を打ち出し、中にはタダと豪語する事務所まで存在します。裏を返せば、ITを駆使して流れ作業的に処理していくということです。設立するだけであれば、システムが整っていれば、パートの子でも十分対応できますが、会社ごとのカスタマイズした設立というのは、会社法や法人税法などに精通していなければ難しくなってきます。

当社でも基本はお客様に設立シートを記入いただき、ほぼ自動で関係書類は作成していますが、ご記入に当たり、ご不明な点などあれば、必ずご相談を頂きたく思います。