NPO法人の消費税

会社設立業務を専門に行っていると、一般の株式会社や合同会社だけでなくNPO法人や社団法人の設立を依頼されることも少なくありません。当事務所は行政書士事務所だけでなく、税理士事務所も併設しているため、設立後税理士事務所との契約を希望される方が大半を占めます。

そこで、今回はNPO法人の消費税について書いてみます。

通常の消費税の計算は受け取った消費税から支払った消費税を差し引いて、差額分だけを税務署に納めることなりますが、NPO法人の場合は少し異なってきます。

 

なぜなら、これらの法人の収入の多くは会費や寄付金と言ったいわゆる不課税取引と言われるもので、消費税が課税されていません。しかし、法人の運営には様々な経費がかかり、それに伴い消費税の支払いは行っています。

そのため、上記算式に単純に当てはめると、受け取った消費税よりも支払った消費税の方が大きくなり、いわゆる還付の状態になってしまいます。

それでは都合が悪い(国にとって)ということで、「特定収入に係る仕入税額控除の特例」といわれる制度が適用されることになります。

細かな話は税理士さんに相談をしてもらうとして、ここでは概要を説明しておきます。

「特定収入に係る仕入税額控除の特例」でいう「特定収入」とは国税庁のホームページでは「補助金、会費、寄附金等の対価性のない収入」と記述されています。

そして、これらの収入が全体の収入の5%を超える場合には「特定収入に係る仕入税額控除の特例」といわれる制度が適用されることになります。

簡単にいえば、全体の収入のうちの特定収入の割合(特定収入割合)分だけ支払った消費税から減額するという制度ですが、以下簡単な例示を示しておきます。

 

課税収入 100(消費税8)

特定収入 100

経費   150(消費税12)

 

通常であれば8-12=▲4となり還付となりますが、NPO法人の場合は「特定収入に係る仕入税額控除の特例」が適用されます。

この場合、特定収入割合は100÷200 で50%になります。

この割合分の消費税を経費から減額するので、計算上の経費は75になります。これに対する消費税は6になり、受け取った消費税8から支払った消費税6を差し引いた2を申告して納めるという計算になります。

税理士さんでもこの規定は知らない方もいらっしゃるので、なるべくNPOや社団法人を専門に行っている事務所に依頼することがベストです。