事業税の見込み計上

平成28年中に会社設立を行った方の中には、それまで個人事業として商売を行っており、法人成りされたという方も少なくないと思います。

その方は、法人設立までの期間の所得は個人事業主として、平成29年3月15日までに確定申告を行わなければなります。

ここまでは、比較的知られた内容だと思うのですが、数多くの確定申告書を見てきて、税理士さんや公認会計士さんが作成している申告書でも忘れているケースが多い項目に、廃業年度の事業税の見込み控除と言われるものがあります。

ご周知のとおり、事業税は他の税金と異なり、経費とすることができる税金です。平成27年度分の事業税は平成28年度に支払っていますので、今回の確定申告で租税公課として経費処理することになります。では、平成28年度分の事業税はどうなるかというと、支払は平成29年になります。しかし、平成28年中に法人成りしているということは、個人事業は廃業しているということになります。つまり、平成29年は確定申告を行う必要がないわけですが、それでは、支払った事業税を経費にできるタイミングがありません。会社の経費にできるかと言えば、当然、個人と法人では別物なので、そんなことは出来ません。

そこで、出てくるのが、事業税の見込み計上という話になります。つまり平成28年の確定申告に、来年支払予定の事業税を計算して費用として計上することが認められています。

 

所得税基本通達377(事業を廃止した年分の所得につき課税される事業税の見込控除)

事業を廃止した年分の所得につき課税される事業税の見込控除の算式、(A+-B)R/1+R

A・・・事業税の課税見込額を控除する前の当該年分の当該事業に係る所得の金額

B・・・事業税の課税標準の計算上Aの金額に加算し又は減算する金額

R・・・事業税の税率