節税対策の養子縁組

このサイトに訪れる方はこれから会社設立を検討されている比較的若い起業家の方が多いかと思いますが、本日、面白いニュースがありましたので、参考程度にご紹介しておきます。

会社経営を何十年とされると、それなりの資産を形成することになります。そうすると、将来、ご自身が亡くなった場合、相続税がかかるわけですが、相続税の節税対策の一つとして養子縁組の活用があります。例えば、孫や子供の配偶者を養子にするわけです。なぜ、養子が節税対策になるかと言えば、相続税では相続人一人につき600万円の控除が認められており、養子すなわち子供の数を増やすことで控除額が大きくなり、税金も安くなるという仕組みです。

これだけ聞けば、父親もそれなりに財産あるから孫を養子にしとこうかなと考える方もいらっしゃると思います。もちろん、相続税対策という意味では有効です。本日のニュースによると、相続税対策だけを目的とした養子は無効とする下級審判決を最高裁判所が破棄した、すなわち養子縁組は有効と認めたという内容でした。

では、そもそも、なぜこのような争いが生じたかと言いますと、養子縁組というのは当事者同士の契約ですので、例えば長男の配偶者を養子にした場合、当該配偶者と親との間の契約になります。そうすると、当事者が誰にも言わなければ、長男の兄弟は養子があったという事実すら知らずに相続を迎えるというケースが少なくありません。

親が亡くなって戸籍を確認すると、長男の嫁が、自分たちの兄弟になっていることを初めて知るのです。

更に、兄弟が増えているということは当然、自分たちの相続分もその分減っているということです。

そうなってくると、当然、裁判にもなりますよね。今回の裁判でも、「相続税対策が中心で親子関係を創設する意思はなかった」と主張しましたが、最高裁は認めなかったということのようです。