会社設立後の手続き

何度か書いていますが、先日も1件あったので再度記しておきます。

会社設立の手続きは法務局に書類を提出しておしまいではありません。寧ろ、その後の手続きのほうが重要と言ってもよいと思います。

我々は会計のプロなので会社設立間もない会社の顧問を受けるときに、一番気になるのが税務署への届出を出しているか否かです。もちろん、私どもが設立サポートをしたお客様であれば、当事務所で責任をもって設立後の届出まで行っているので問題はありませんが、他事務所、特に行政書士事務所等で手続きを行った場合や自分で手続きを行った場合、設立後の手続きを怠っているケースが少なくありません。期限内に当事務所へ相談に来られた場合は、早急に確認作業を行い、未提出であれば即時に提出を行いますが、期限を過ぎている場合はどうしようもありません。

なぜこれほど我々が気になるかというと、青色申告の届出を提出した場合の特典として、赤字を繰り越せるという制度が認められているためです。

1期目というのは備品を購入したり、事務所の契約をしたりと、通常では発生しない経費が少なからず生じます。一方で十分な売り上げが立たないことも多いため、赤字になりがちです。しかし、仮に1期目に赤字になったとしても、2期目に利益が出れば、その利益を圧縮することが出来るため、税金を大幅に抑えることが可能となります。青色申告の届出を出していなければ、当然この特典は使えません。

この届け出は設立後3カ月以内に所轄税務署へ提出することになっています。

3カ月以内に相談に来られれば良いのですが、当初から税理士さんとの契約をするつもりのない方の多くは決算期近くになってから、もしくは決算期を過ぎてから相談に来られます。決算期を過ぎてから相談に来られた場合は、2期目も青色申告を適用できません。なぜなら2期目以降の適用条件は、適用したい事業年度が終了するまでに青色申告の届出を提出することになっているからです。

決算期を過ぎているということは既に2期目に入っているということなので、その時点で提出をしても、認められるのは3期目からとなります。

経理に携わったことのない起業家の方がほとんどだと思いますので、この不利益がどれほど大きいかイメージが付かないかもしれませんが、我々からすれば絶対に避けたい事態です。

会社の設立をお考えの方はどうぞ早めに税理士さんに一度相談に行ってください。すぐに契約をしなくとも、最低限のアドバイスは当事務所に限らず、どこでもしてくれます。

先日も一件同様の事態がありましたので、注意喚起のために記しておきます。